俺らはある駒に話を持ち掛けた

 場所は、夜の世界…そこに、あの駒、Nocturneは何時もいる

 だが、Nocturneはとても気紛れだから、何時もいるとはいえ、違う場所にいることだってある

 それが、厄介

 

 けれど、Nocturneは夜の世界にいた

 俺らを見るなり、警戒していた

 

「おいおい、そんなに警戒しなくても…」

 

 言葉を掛けても、Nocturneが警戒を解く事は無かったけれど、解いたような演技はしてくれた

 俺らが何かを言う前に、Nocturneが声を発する。「何用か?」と…

 

「用?用件は、交渉に来た。いや、ほぼ決定事項だけど」

 

 俺らの事を見るNocturneの目が、『どうせ、良くない事だろう』と語っているが、続ける

 

「おめでとう、君はこの世界の歯車に選ばれました。この曖昧な世界が完全となる為の歯車であり、王冠を出現させる為の条件ともなる歯車に」

 

「歯車となった以上、君は王冠の争奪戦には参加できない。けれど、可能な範囲でなら俺らが叶えてあげなくもない」

 

「どう?まぁ、君の願いが変わっていないのなら、その願いは簡単に叶えられるけど…」

 

 Nocturneは考えを巡らせるように、沈黙する

 

「あぁ、もしかして、何故、歯車になんて選ばれたのか、解らない?」

 

「君には、適正があったからだよ。そもそも、何の条件もなく、王冠が現れると思った?そう、思ったのなら、大間違いだよ」

 

 『そうだろうね』と言った反応をするNocturne

 もうしばらく、沈黙が流れそうだ。だから…

 

「さ、どうするの?まぁ、君が拒もうと決定している事だから、変える事はないけれど」

 

「結果が楽しみだよ。誰が最終的に王冠を手に入れて、何を願うのか…その時までは、その刹那の時間は君も自由に行動するといい。君の時間は決められているから」

 

「あぁ、忘れてた…このゲームが終わったら、君には契約印をつけてもらうから、じゃあね」